
第3作目、「リプレイス ~少年たちの舞台~」をご紹介します。
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あらすじ>>
世の中には、瓜二つの人間が存在する。
同じ容姿、瓜二つの人間を並べて立たせているだけでは違いがわからなくても、重ねてきた時間を顧みることができれば、二人がまったく別の人間だとわかる。
その価値観、趣味嗜好の違い、送ってきたそれぞれの暮らしや、学習してきたこと、経験が異なれば当然、違いは如実に表われる。
大学4年生の笹岡昌之が、高校生と思しき1人の少女と2人の少年に〝ミツル〟と人違いされたことから物語は始まる。
少年たちは大胆にもバスジャックを企てていた。その首謀者が、どうやら〝ミツル〟らしい。
偶然と奇異的な現象が重なり、人違いされたままに新潟までの夜行バスに乗ることになる。
あまりにも脆く、計画性の乏しいバスジャック劇の幕は呆気なく降ろされる。高校生くらいの歳であろう少年たちがナイフのみを振りかざし、何を完遂させられると思っていたのか。
しかし、それは始まりに過ぎなかった。
少女の名は夏美。少年の名は俊伸と健治。
昌之の父親である弘樹と繋がりがあることが判明していく。昌之にとっては、これまでに一度も会ったこともない少年たちなのだが……。
姿なき瓜二つの男に、昌之と家族は翻弄される。
弘樹の過去と少年たち、そして〝ミツル〟と名を語る男が糸のように絡み合い、混乱と驚愕の渦に昌之は巻き込まれていく。
〝ミツル〟とは何者なのか。どこから現われたのか。
昌之は父親の過去を探るべく奔走する。
1人、また1人と弘樹と少年たちの関係が浮き彫りになっていく。そして知ることになった過去。
父親の儚い恋物語があった。母親の凄まじい決断があった。悲しい死別があった。
17年の時を経て、弘樹は告白する。
妻子がありながら、愛した女性がいた、と。そして彼女は子ども産んだ。その名は、夏美。
1人っ子で育った昌之に、ほんとうなら弟がいたことも聞かされる。昌之が五歳のときのこと。
弟は死産だった。名前は決めていたという。その名は、満(みつる)。
そしてさらには、夫である弘樹でさえも知らない、もうひとつの出生の秘密を1人抱え込んで生きてきた母親がいることに、当然昌之が気付けるはずもなかった。最後には、双子の弟がいることをも知ることになる。
辿り着いたのは親子の決別、そして再会だった。
どうしてこうも自分だけが不幸なのかと、捨てられたもう1人の息子の視点でも、併行して物語は進んでいく。
少年たちの舞台の幕は閉じる。文字通り、演じた彼、彼女たち。
おすすめポイント>

瓜二つの人間を並べて立たせているだけでは、違いはわからないですよね。
この物語は、それを証明したいがために作り上げた計画でもあったわけです。
しかし、〝ミツル〟は最後に、失敗に終わったと言います。
自分が本当ならどうなりたかったのか、それが達成されていないからだというのですが……。
そしてそれは、もう達成することはこの先、ない……。
1作目「オータム インザ ツリートップス」
2作目「未来があるならば、その約束を」

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