パートやアルバイトで税金がかからないように、年収103万円以内を意識して働いている方も多いのではないでしょうか?
103万円以内に収めて、年末調整や確定申告で所得税は0円、
「よし、これで一安心」
……のはずが半年以上も経って市区町村から『住民税の決定通知書』なるものが届いて「なんじゃい?」と思ったことがあるひとも……。
税金がかからないように103万円以内に収めたのに……。
今回は、住民税の〝課税〟についてお話ししたいと思います。
この記事はこんな方におすすめです。
・住民税の仕組みを知る
・適切な税金の対策を取れるようにする
では、よろしくお願いします。
そもそも住民税とは?
住民税は、地方税の個々の色合いが表れる税金と言われています。
『道府県民税』と『市町村民税』を合わせて住民税と呼ばれていて、2つの税の総称になります。
住民税には、〝個人〟住民税と〝法人〟住民税があるのですが、この記事では個人住民税についてのお話をさせてもいらいます。
住民税には、
所得にかかわらず定額の負担を求める「均等割」と、所得に応じた負担を求める「所得割」があります。
均等割が通常5,000円(市町村民税3,500円、道府県民税1,500円)と定められているのに対して、所得割の税率は、所得に対して一律10%とされており、前年の1月1日から12月31日までの所得で算定されます。
「関連リンク」
総務省:『個人住民税』
年末調整や確定申告などで所得が確定した後に、市区町村にて住民税の計算が行われて5~6月ころに「住民税の決定通知書」が届きます。
所得税は0円なのに、住民税が課税される?
一口に税金といっても、所得税と住民税は別の物として考えましょう。
「103万円以内」というのは、給与所得にかかる所得税の話であって、住民税はまた別の条件が設けられています。
住民税が非課税になる条件は以下になります。
①生活保護を受けている人 ②障害者・未成年者・ひとり親または寡婦で、前年の合計所得金額が135万円以下の方 ③前年度の所得が各市区町村の条例で定める金額以下の方 |
①~③に当てはまらない方はたとえ所得税が0円であっても住民税が課税対象となってしまいます。
年収103万円以内の人、というのはおそらく③の条件から外れてしまっている方が多いのではないかと思われます。
③は各市区町村によって金額が異なるため注意が必要です。
何が起きるのかというと、
同じ所得の人であっても、お住まいの市区町村によっては課税されてしまう、があったりするわけです。
※③の金額については、各市区町村のホームページに載っていますので確認してみてください。
扶養親族がいれば住民税非課税になるかも?
ここでは、私の知人であるAさんの話をさせてください。
パート年収97万円、所得税は非課税でしたが、住民税は前述の③の条件から外れてしまったため、課税対象となってしまいました。
Aさんがお住まいの市区町村のホームページを確認してみると、以下のようになっていました。
Aさんはご主人と小学生のお子さんがいて、お子さんはご主人の扶養に入っていたのでAさん自身には扶養親族がいないということになります。
パート収入で97万円の場合、所得は以下のように算出されます。
年収97万円-給与所得控除額55万円=所得42万円 |
所得42万円で、上表赤枠部にある415,000円をオーバーしているため住民税の課税対象となってしまったというわけです。
所得42万円なので、所得割はかかりませんが、均等割分が課税対象となっています。
均等割分は5,000円と決まっていますが、少しの所得オーバーで5,000円払うのか……と思うとちょっと微妙な気分ですよね。
できれば払いたくないというAさんに、
住民税の修正申告をして、お子さんをご主人の扶養から外してAさんの扶養に入れてはどうかと提案してみました。
そうすれば、Aさんは上表青枠部の「扶養親族がいる方……」に該当となります。
扶養親族1人がいる場合、所得604,000円(給与収入だと1,154,000円)を超えなければ住民税は非課税になります。
ただ、この方法はAさんのお子さんが16歳未満だったから使えた方法です。
お子さんが16歳以上だった場合は所得税の扶養控除に関わってくるので、逆にご主人の所得税が増えてしまう可能性も……。
また、16歳未満であっても子ども手当などがある会社の場合は、それがなくなってしまう可能性もあるため、扶養親族の異動を行う場合は、異動に伴いどのような影響があるかを確認するようにしましょう。
住民税の修正申告
住民税の申告は3年まで遡れるようですが、各市区町村によって違っている可能性がありますので、お住まいの市区町村の担当課(税務課や市民税課など)に問い合わせてみるのがよいかと思います。
修正申告は役所で申告書を入手し、申告書に記入をして申告するのが一般的なようですが、まずは市区町村の担当課へ連絡してみましょう。
どのように修正したいかを伝えれば、職員の方は申告書の書き方などを丁寧に教えてくれます。
ちなみに前述のAさんの場合は、Aさん本人とご主人の分の申告書と源泉徴収票、本人確認書類(免許証コピーなど)を用意して手続きをしたそうです。
ただ、役所の職員の方はたまたま税務課などに配属された、なんて方もいるようで、税務署職員と違って税金のプロという訳ではありません。
こればかりは仕方がないですね。
もしかすると詳細な対応が難しい場合もあるかもしれませんので、要件を分かりやすく伝えるようにしましょう。
なお、「住民税の決定通知書」にある納税額については先に支払ってから、後日修正したものを返金してもらう、という流れになることが多いようですね。
期限内に納付しないと利息がかかる可能性のあるため、納税方法についても併せて職員の方に相談してみるのがよいと思います。
まとめ
住民税は『都道府県民税』と『市町村民税』の総称で、所得にかかわらず定額の負担を求める「均等割」と、所得に応じた負担を求める「所得割」があることをお伝えしました。
そして知人の話を通して、条件等々で所得税は0円なのに住民税が課税されることがあるということと、扶養親族の‶異動〟についても話をしました。
扶養親族の異動については、どのような影響があるか注意が必要、ということでしたね。
住民税の申告については、各市区町村によって異なる可能性がありますので、お住まいの市区町村の担当課(税務課や市民税課など)に問い合わせてみましょう。
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